横浜地方裁判所 昭和43年(ワ)662号 判決
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〔判決理由〕被告小川の過失について検討する。
1 <証拠>によると次の事実が認められ、<証拠判断略>。
被告小川は、被告車を運転して、通称京浜第二国道を横浜バイパス方面から川崎方面に向けて進行し、横浜市鶴見区東寺尾町七〇六番地の五先通称岸谷消防署前交差点に差しかかつた。
ところが、丁度対面の信号機が赤信号であつたので停車しようとして、ブレーキペタルを踏んだところ踏み代はあつたが、いつものように踏みごたえがなく、ブレーキの効果もないので、再度ブレーキペタルを踏み、ようやく時速約二粁に減速し、停止寸前の状態の状態になつた。そのとき、右信号機が青信号に変つたので、停車しないで加速して進行を続けたが、その際ブレーキが故障しているのではないかと感じて、オイルリザーバーのオイルを見て、それが約半量に減少していることを認めた。かかる場合は、ホイルシリンダーのラバーラップの老化、き裂のため、ブレーキオイルの漏洩によるフートブレーキの故障を認識し得る状態に該当するのであるが、被告小川は、これに危険を感ずることなく漫然四九粁で運転を継続したため、本件交差点にさしかかり、対面信号機の信号が黄色に変り、同方向に進行する車両が停止したのを約50.1米前方に認め、その後方に停止しようとして、ブレーキペタルを踏んだが、左左後輪の老化したホイルシリンダーラバーカップのき裂によるブレーキオイル洩れのため、踏みしろがなく、フートブレーキの効果が全くないのに狼狽し、左にハンドルを切ると共にサイドブレーキをひいたが間に合わず、折柄、本件交差点の手前左側で、信号待ちのため停車中の原告車に後方から衝突したものである。
2、自動車運転者たる者は、右のような状態から、ブレーキオイル漏洩によるフートブレーキの故障を認識し、或は認識し得る状態に至つたときは、ただちに運転を中止し、もよりの修理工場に依頼して、故障箇所を十分点検し、修理した上運転を継続すべき注意義務があるところ、被告小川は前記認定のとおり漫然進行を続けて本件交通事故を惹起したものであるから、これに過失があること明白である。 (石藤太郎)